特許を受けると他人が
『事業の目的』で、
『正当な理由』もなく、
『特許発明を実施』することを
『取り締る』ことができる。
事業活動に関係するものであり、個人的な活動は含まれません。
具体的には、キッチンで使用する便利グッズ(特許発明)を主婦が手作りして、それを個人的に使用することです。一方、その手作り便利グッズを沢山作って、ご近所の奥様方に売る行為は事業の目的といえます。
💡以下は事業活動に含まれます💡
以下の場合にはその他人には正当な理由があるといえます。すなわち、以下の場合のいずれかに該当する場合にはその他人は特許発明を実施できます。
💡正当な理由がある場合💡
特許権者からの許可を得ることで正当に特許発明の実施をすることができます。『特許権者からの許可』のことを、実施権や、ライセンスと言う場合があります。実施権には大きく2種類に分けられます。
💡2種類の実施権💡
専用実施権:独占的に特許発明の実施をできる。
通常実施権:非独占的であるが、特許発明の実施をできる。
※いずれの実施権を得るかは特許権者との交渉次第です。言うまでもなく、特許権者は実施権を与える対価を要求することができます。
特許出願のとき、すでに特許発明の実施をしている場合はその後もその実施を継続できます。この権利を先使用権といいます。
💡事例紹介💡
事実①:青井さんは、独自に発明した飴Aを特許出願し、その出願は特許された。
事実②:黄色井くんは、青井さんが特許出願をしたときすでに独自に発明した飴Aの製造及び販売をしていた。
結論 :黄色井くんは飴Aの製造及び販売を行う先使用権を有する。
試験又は研究の場合には正当に特許発明の実施をすることができます。
特許制度の意義は産業の発達ですので、産業を発達させるための試験研究は法律上正当に認められています。
💡事例紹介💡
事実①:飴Aは特許されている。
事実②:黄太郎くんは、飴Aより優れた飴Bの試験研究を目的として飴Aの製造を行っている。
結論 :黄太郎くんは正当に飴Aを製造できる。
特許制度における発明は3種類に大別されます。各発明ごとに『特許発明の実施』の定義が異なります。以下でそれぞれ説明します。
💡3種類の発明💡
特許請求の範囲に記載された発明が、物の形状、特性、構造などを特定した発明である場合は物の発明に大別されます。
右側に図示するような発明が物の発明です。
左側に図示する行為が、物の『特許発明の実施』に該当します。これらの行為のうち1つでも実施すれば『特許発明の実施』に該当します。
💡物の発明の一例💡
材料(素材)、薬、食品、コンピュータの制御装置、プログラム、電子機器、電子部品など。
特許請求の範囲に記載された発明が、物を製造するための方法を特定した発明である場合は、製造方法の発明に大別されます。
右側に図示するような発明が製造方法の発明です。
左側に図示する行為が、製造方法の『特許発明の実施』に該当します。これらの行為のうち1つでも実施すれば『特許発明の実施』に該当します。
※物の『譲渡』は、販売すること、貸渡しすることなどを意味しています。また、実際に譲渡していなくとも、譲渡のために宣伝をすることも物の特許発明の実施に該当します。この点は上述する物の発明であっても同様です。
特許請求の範囲に記載された発明が、製造方法以外の方法の発明である場合は、他の方法の発明に大別されます。
右側に図示するような発明が他の方法の発明です。左側に図示する行為が、他の方法の『特許発明の実施』に該当します。
💡他の方法の発明の一例💡
食品における品質の評価方法、不純物の測定方法、商品の梱包方法、など。
主に次の3つができます。
💡3つの手段💡
①償わせる(損害賠償請求)。
②止めさせる(差止請求)。
③対価を求める(ライセンス交渉)。
損害賠償請求
特許権侵害されたことによる損害を償わせることができます。
裁判所により特許権の侵害が認められた後、損害額が算出されます。被告はこの損害額を支払わなくてはなりません。
その額は、状況次第ですが、最安でも以下で説明するライセンス料に相当する額となります。この額は売上に対して3%くらいが相場です。
差止請求
裁判所により特許権の侵害が認められれば、侵害行為を止めさせることができます。
さらに、侵害品の廃棄と、侵害品の製造設備の処分も請求することができます。
ライセンス交渉
上でも説明したように、特許発明の実施を許すかわりに対価を請求することができます。
対価を求めるにあたっては裁判所に訴える必要はありません。当事者同士で話しあうことができます。