結論
『特許』は難しい制度というより、「強みを言葉にして、事業に乗せる」ための道具として、ちゃんと成果につながることがあります。
- ポイント1:『相談』から始めて、やるべき順番を作った
- ポイント2:『権利化』で、模倣を気にせず動ける状態を作った
- ポイント3:『発信』で、価値が伝わる入口を作った
※本記事は公表されている支援事例に基づく一般的な整理の考え方です。個別事情により最適解は変わることがあります。
「特許って、大企業の話でしょ」
そう感じる方は、まだ多いです。
でも実務では、逆です。
中小企業ほど、技術の説明が“伝わらない”と損をします。
価格の話に引きずられます。
提携の話も、腰が引けます。
そんな場面で、『特許』が効くことがあります。
今回紹介するのは、INPITの支援事例として公開されている『株式会社アジェンダ(北海道)』の実例です。
支援の結果として、引き合いが増え、受注が伸びたと紹介されています。
上の3点の順で整理します。
ポイント1:『相談』から始めて、やるべき順番を作った
この事例の入り口は、いきなり『出願』ではありません。
まず『相談』です。
旅行会社向けのクラウドサービスを開発する中で、技術の範囲が多岐にわたっていた。
だから、開発の各段階で専門家(弁理士)の支援を複数回活用し、技術的特徴の抽出や権利化可能性の検討を進めた。
つまり、開発と並走しながら“特徴の切り出し”を繰り返した、ということです。
ここが、まず現実的です。
「何が発明なのか分からない」
「どこが強みなのか言えない」
この状態は普通です。
だからこそ、最初に必要なのは“完璧な資料”ではなく、順番を作ることです。
この実例は、その姿をそのまま示しています。
ポイント2:『権利化』で、模倣を気にせず動ける状態を作った
この事例では、知財権として『特許権3件』『意匠権1件』を取得したと紹介されています。
しかも対象はクラウドサービスです。
つまり「ソフトウェアでも、形になる」ということです。
さらに、企業コメントとして「模倣を防ぐため相談し、特許取得に至った」旨も紹介されています。
実務で大きいのは、権利そのもの以上に、動ける状態ができることです。
「安心して営業できる」
「提携の話を進められる」
「説明が堂々とできる」
この状態は、会社のスピードを上げます。
ポイント3:『発信』で、価値が伝わる入口を作った
面白いのは、権利化だけで終わっていない点です。
製品の上市の際に、『特許・意匠登録出願』を明記したニュースリリース作成に関する支援も行った、とされています。
つまり、知財を「取った」から「伝える」に接続しています。
そして支援成果として、引き合い増加、受注が200%増、利用会社が倍増、スタッフを4名増員、という記載があります。
もちろん、特許だけで売上が決まるわけではありません。
ただ、特許をきっかけに「価値の説明」が整い、外から見たときの納得感が上がる。
その結果として、話が進む。
この現実を、数字で見せてくれる事例です。
まとめ
『株式会社アジェンダ』の実例は、まず『相談』で順番を作り、次に『権利化』で模倣を気にせず動ける状態を作り、最後に『発信』で価値が伝わる入口を整えることで、事業成果につながり得ることを示しています。
まず整理するのは、立派な資料ではありません。
「何が独自か」「何が真似されると困るか」「どこが価値か」。
この3つが言葉になれば、次の打ち手が見えてきます。