結論
『出願前』は、テンプレで作る『発明メモ』を軸に、裏付け資料と公開履歴をそろえるだけで、特許の判断と準備が前に進みやすくなります。
- ポイント1:テンプレに沿って『発明メモ』を書く
- ポイント2:説明に必要な『裏付け資料』を集める
- ポイント3:『公開の有無』と『公開日』を棚卸しする
※本記事は一般的な整理の考え方です。発明の内容や公開状況により、優先順位や必要資料が変わることがあります。
新しい商品や技術は、試作や改良を重ねながら、社内共有や取引先説明が進みます。
その流れで、写真や資料が増え、情報があちこちに散らばりがちです。
そして、いざ『特許』を検討すると、次の悩みが出やすいです。
「何を発明として出すのか、説明が毎回ブレる」
「どこまで書けばいいのか分からない」
「もしかして、もう公開してしまっているかも」
特許は、出願して終わりではありません。
出願した内容は、いずれ『公開』され、情報として世の中に出ていきます。
つまり『特許』は、守る手段であると同時に、情報開示の設計でもあります。
だからこそ、最初の段階では「完璧に書く」よりも、まず「整理して見せる」方が進みやすいです。
とりあえず出して、見せて、任せて。
そのための最低限の材料が、今回の3点です。
上の3点の順で整理します。
ポイント1:テンプレに沿って『発明メモ』を書く
出願準備の中心は『発明メモ』です。
ここがあるだけで、相談の焦点が定まり、出願するかどうかの判断もしやすくなります。
『発明メモ』は、きれいな文章でなくて大丈夫です。
ただし、書き方には一つコツがあります。
「アイデア」を書くのではなく、「見た人が再現できそうな情報」を意識して書くことです。
なぜなら、特許は公開されます。
公開される以上、「どこまで開示するか」の線引きが必ず問題になります。
この線引きは、最初から一人で正解を決める必要はありません。
まずは材料を出して、どこを『権利化』し、どこを『ノウハウとして残す』かを一緒に設計する方が、結果的に安全なことが多いです。
そこで、コピペ用のテンプレを置きます。
埋められるところだけでOKです。
空欄があっても、話を進める材料になります。
『発明メモ』テンプレ(目安:A4 1〜3枚)
- 発明の名前(仮)(例:『○○装置』『○○方法』『○○構造』)
- ひとことで(30秒説明)(何を、どうする発明か)
- 『課題』(従来の困りごと。誰が困るか。いつ困るか)
- 従来のやり方(比較の相手)(現状の構造・手順・条件。なぜ限界があるか)
- 『解決手段(コア)』(今回の工夫の中心。何を変えたか)
- 構成要素リスト(部品名/材料/パラメータを箇条書き)
- 動き・流れ(装置なら動作の順番。方法なら工程順)
- 数値・条件(温度、時間、寸法、回数、濃度。範囲でも可)
- 『効果』(何がどう良くなるか。可能なら比較も)
- 代替案(バリエーション)(材料違い、形状違い、順序違い、省略形など)
- 使いどころ(用途・現場)(誰がどこでどう使うか)
- 図の候補(全体図/断面図/フロー図/ブロック図)
書き方のイメージを補足します。
たとえば「組立がラクになる」だけだと、特許の材料としては弱くなりがちです。
そこで、「どの部品をどう変えたか」「どの順番をどう変えたか」「条件をどうしたか」を一言ずつ足します。
すると、再現性が上がり、権利化の中心(コア)も見えやすくなります。
ポイント2:説明に必要な『裏付け資料』を集める
次にやることは、『発明メモ』の内容を誤解なく伝えるための裏付けをそろえることです。
裏付け資料は、完成品の設計図のようなものを求めているわけではありません。
「何が違うのか」を共有するための材料です。
おすすめは、まず“形が分かるもの”をそろえることです。
次に“条件が分かるもの”があると、検討が一気に進みます。
- 形が分かるもの:試作品の写真(外観/内部/分解)、スケッチ、簡単な構成図
- 条件が分かるもの:仕様メモ(サイズ、材料、条件)、試験結果・測定データ(表やスクショでも可)
- 動きが分かるもの:動作動画(限定公開URLでも可)
たとえば装置系なら、全体写真に加えて「肝になっている部分のアップ」と、手書きの簡単な図があるだけで、説明の精度が大きく変わります。
方法系なら、工程の順番が分かるメモと、条件(温度・時間・回数など)が分かるメモがあると、議論が早くなります。
ポイント3:『公開の有無』と『公開日』を棚卸しする
最後に、『公開の有無』を棚卸しします。
出願前に公開している場合でも、状況によっては手続の選択肢が残ることがあります。
ただ、ここは「何となく」では判断できません。
まず事実として、いつ、どこで、何を外へ出したかを押さえます。
棚卸しの対象は、次のあたりです。
「公開していないつもり」でも、転載や先行公開が混ざることがあるので、念のため拾います。
- 『SNS』:投稿URL、投稿日が分かる画面(スクショ)、画像・動画
- Web掲載:製品ページ、ブログ、プレスリリース(掲載日が分かる画面)
- 展示会:出展者ページ、カタログPDF、会期・会場が分かる資料、配布資料
- 営業資料:配布日が分かるメール、提案書PDF
ここで重要なのは『公開日』です。
展示会当日が『公開日』とは限りません。
展示会より前に、出展者ページやPDFが公開されていたり、ティザー投稿が先に出ていたりします。
なので、まず「最初に外へ出た日」を確定し、その日付が分かる証拠(URL・スクショ・メール等)を残します。
この整理ができると、手続の要否や優先順位が見えやすくなります。
まとめ
『出願前』に大切なのは、完璧にそろえることではなく、特許にするか判断できる形に情報を整えることです。
テンプレの『発明メモ』で発明の芯(課題・解決手段・効果)と再現要素を押さえ、写真・図・条件メモ・データで誤解なく共有できる状態にします。
公開が絡みそうなら『公開日』を軸にSNS・Web掲載・展示会資料を棚卸しして事実も固めます。
問い合わせ・無料相談の際は、この3点があるとスムーズに進みます。