特許の意味と目的をわかりやすく解説

特許とは、新しい技術的アイデア（発明）を独占的に実施できる権利です。

特許庁に出願し、審査を経て認められると、出願日から20年間その発明を独占的に使えるようになります。

特許制度は、発明者が安心して技術を公開できるようにするための仕組みです。権利で守られることで発明の価値が失われず、その結果として新しい技術開発が続き、社会全体の発展につながります。

どんな発明が特許になる？3つの要件を整理

すべてのアイデアが特許になるわけではありません。

特許として認められるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

• 新規性：すでに公表・公開されていないこと
• 進歩性：専門家でも簡単に思いつかない発明であること
• 産業上の利用可能性：実際に産業に応用できる技術であること

一方で、自然法則を利用しないもの（例：ビジネスモデル自体やゲームルールなど）や、倫理に反する発明は特許の対象外です。ただし、ビジネスモデルを正しくITサービスとしてシステム化することで特許取得は可能です。これをいわゆるビジネスモデル特許と言います。

特許・商標・意匠の違いを比較して理解する

特許は仕組みや技術を守る制度ですが、知的財産権には特許以外にも「意匠」「商標」があります。

以下の表で違いを比較してみましょう。

権利の種類	保護対象	保護期間	代表例
特許権	技術・発明	出願日から20年	新しい構造・システム・材料等
意匠権	デザイン・形状	出願日から最長25年	製品の外観デザイン
商標権	名前・ロゴ・マーク	10年（更新可）	商品名・ブランド名

技術そのものを守りたいなら特許、デザインやロゴを守りたいなら意匠・商標を選ぶのが基本です。

Tate&Hoco特許商標事務所では、これらを複合的に組み合わせた保護戦略のご提案も可能です。

発明を法的に守り、模倣リスクを防ぐ

特許を取得すると、その発明を他人が勝手に使うことはできません。もし模倣や侵害があった場合は、差止請求や損害賠償請求も可能です。

発明を公表する前に出願しておくことで、権利の強さを最大限に活かせます。

特許で信頼性アップ！補助金や提携にも有利

特許を持っていると、技術者としての信用力が格段に上がります。

製品開発や事業提携の際に、「特許を保有している」という事実が取引先や投資家への信頼につながります。

さらに、補助金や助成金の審査において、特許の保有は加点要素になる場合もあります。

ライセンス収益で継続的なビジネス価値を生む

取得した特許を他社に使用を許可することで、その対価として継続的な使用料（ライセンス料）を受け取れます。

発明を自分で製造・販売しなくても、企業に技術を提供する形で利益を生み出せます。

個人発明家にとっても、特許を資産として活かすチャンスが広がるでしょう。

特許出願までの流れを5つのステップで解説

ステップ1：先行技術調査を行う

自分の発明がすでに特許出願されていないかを確認します。

特許庁の公開特許データベース「J-PlatPat」で無料検索が可能です。似た構成が見つかった場合は、差別化できる改良点を検討しましょう。

ステップ2：特許出願書類を作成する

特許庁へ提出する書類を作成します。必要書類は以下の5点です。

• 願書：発明の名称・出願人情報など
• 明細書：発明の内容を詳細に説明
• 特許請求の範囲：権利として保護したい範囲を明記
• 要約書：発明の概要を簡潔に記載
• 図面：必要に応じて構造や工程を図示

特に「明細書」と「特許請求の範囲」は特許の核心部分です。弁理士に相談すれば、権利範囲を最適化できます。

ステップ3：特許印紙を購入して貼付する

出願料を納付するための「特許印紙」を購入し、願書の所定欄に貼付します。

出願料は14,000円です。

電子出願の場合はオンライン決済で納付できます。

ステップ4：特許庁に出願する

書類と印紙を揃えたら、特許庁に正式に出願します。

現在は「電子出願ソフト」でオンライン申請する方法が主流です。

窓口への持参や郵送でも手続き可能ですが、電子出願のほうが迅速で確実でしょう。

ステップ5：電子化手数料を納付する

紙で出願した場合、特許庁が電子データ化するための「電子化手数料」を別途納付します。

電子出願を利用すればこの費用は不要です。

個人出願と弁理士依頼の違いを比較する

出願は個人でも可能ですが、専門的な知識が必要です。以下の表で違いを整理してみましょう。

方法	メリット	デメリット
個人で出願	公費だけで進められる・費用を抑えられる	記載ミスのリスク・拒絶理由への対応が難しい・権利範囲が狭くなる可能性
弁理士に依頼	専門知識で登録率が高い・拒絶理由対応も任せられる	申請～特許までで報酬（目安は50万～70万円程度）が必要

このように、特許取得は「調査→設計→書類→審査→登録」という流れを理解すれば、個人でも十分に可能です。

しかし複雑な手続きに戸惑う方も少なくありません。初心者の方は、明細書作成や審査対応を弁理士に任せると、失敗リスクを減らし登録率を高められます。

Q1．特許と著作権の違いは何ですか？

A．特許は「技術的アイデア」を保護し、著作権は「表現された芸術的な作品」を守ります。特許は出願・審査が必要ですが、著作権は創作と同時に自動的に発生します。

Q2．出願後に修正はできますか？

A．はい。補正書を提出すれば、明細書の一部を修正できます。ただし、出願時より新しい要素を追加することはできないため、記載内容は出願前に慎重に確認しましょう。

Q3．発明を公開してからでも特許は取れますか？

A．原則として、発明を公表した後では特許を取得できません。出願前に内容を公開しないことが大切です。「新規性喪失の例外制度」により、公開から1年以内なら救済される場合もあります。迷ったときは早めに専門家へ相談しましょう。